[Salesforce] マルチ通貨設定 調査報告 その1

[Salesforce] マルチ通貨設定 調査報告 その1

Salesforceのマルチ通貨設定を有効化した場合に何が起きるのか?に関して調査しました。 複数回に分けての報告その1です。 マルチ通貨を有効化するだけで生じるSalesforce上の変化についてまとめています。
Clock Icon2021.04.12

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Salesforceには一つの組織内で複数の通貨を扱うマルチ通貨の仕組みがあります。

このマルチ通貨設定を使うと具体的に組織にどのようなことが起きるのか、調査してみました。 何回かにわけて記述したいと思います。

マルチ通貨設定の有効化

マルチ通貨設定の有効化は[設定]>[組織情報]で[マルチ通貨の有効化]のチェックボックスをオンにするだけですが、マルチ通貨設定をいちど有効にしたら無効にできないので必ずSandbox組織で検証を行いましょう

マルチ通貨設定を有効化したら、通貨とレートを設定します。 [設定]>[組織情報]>[通貨の設定]から「通貨の管理」画面に移動して、USD(アメリカドル)、EUR(ユーロ)、KRW(韓国ウォン)を追加定義しました。

有効な通貨リスト

マルチ通貨設定を有効化すると何が起きるのか?

金額がISOコードで表示される

「¥12,300」のように表示されていた金額が「JPY 12,300」のようにISOコードで表示されます。

各オブジェクトに「通貨」項目が追加される

各オブジェクトに「通貨」項目が追加されます。

通貨例

通貨設定で定義した通貨から使用する通貨をレコード単位で設定することができます。 たとえば、「通貨」項目をJPYからUSDに変更すると、通貨型に入力されている値をJPYからUSDとして扱うようになります。 JPY 10,000 なら USD 10,000 になります。レートで変換した値に置き換わるのではないことに注意してください。 また、「通貨」をマスタ通貨(ここではJPY)から変更すると、JPY換算した値が括弧で括られて表示されます(次図)。 なお、通貨型以外の項目は「通貨」項目の影響を受けません。

マルチ通貨の挙動

また、任意のオブジェクトで「通貨」項目を任意に設定、変更できるのですが、次の例外がありました。

  • 商談の場合、商談商品が紐づいている作成済レコードの「通貨」項目を変えることはできない
  • 見積の場合、「通貨」項目の値は紐づく商談と同じ値でなければならない
  • 商談商品には、商談の「通貨」項目と同じ通貨で価格が定義された商品だけを選択できる

つまり、既に商品を割り当てている商談の「通貨」を変えることはできず、また、複数の種類の「通貨」が一つの商談に紐づくことはできないようです。

個人設定の通貨

[個人設定]>[言語とタイムゾーン]から使用する通貨を設定することができます。ここではJPYからUSDへ変更してみました。

個人設定の言語とタイムゾーン

このユーザにとってはUSDがマスタ通貨のような扱いになるため、先のテスト用レコードにアクセスすると括弧での金額表示がなくなり、USDドルの価格だけが表示されます。

個人設定の通貨とレコードの通貨設定が同じ場合は括弧での金額表示が消える

「通貨」項目の値をたとえばEURに変更すると、括弧内にUSD換算した価格が表示されます。

個人設定の通貨とレコードの通貨設定に違う通貨を設定した場合、括弧内にレート変換された値が表示される

レポートの項目間の絞り込みでは通貨項目がサポートされない

複数の通貨を有効にしている場合、通貨項目による項目間の絞り込みによる項目の比較を使用したレポートは使えなくなります。

たとえば、商談が予測金額と金額の二つの通貨項目を持っているとして、予測金額より低い金額の商談だけをレポート抽出するといったことができなくなります。

参考情報

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